
敷地を三分割した配置
敷地分割により生まれる細長い土地
土地探しのお手伝いをしていると実に様々なバリエーションの土地を見かけます。
よく目に付くのが、広めの土地が複数に分割された細長い形状の土地です。
細長いことが決して悪いわけではなく、コートハウスのように細長い方が相性がよい場合もあります。
ただ、正方形に近い土地と比べると計画に制約がある印象です。
東西に長いと陽当たりはよいのか?
例えば、東西に長い土地は南を庭にすると陽当たりのよい部屋が多くつくれると考える方もいるかと思います。しかし、南隣家が近い場合は、陽当たりはあまり期待できません。
また、あまり広くない土地だと家も庭も細長くなり、それぞれの奥行きが限られてしまいます。
建物の間口が狭くなることで、広さを確保しながら複数の部屋を計画するのが難しくなる場合もあります。
Point1 外部空間をまとめる
「北町の方形」の敷地は、やや東西に長い建蔽率/容積率が厳しめ(40/80)な42坪の土地でした。
なるべく無駄のないプラン、そして緑とのつながりも楽しめるようにするために、敷地を三分割し建物を中央、東西に外部空間をまとめて配置しました。
東は庭、西は緑を植えたアプローチと駐車スペースです。
それぞれを単純なかたちにすることで、面積や奥行きを確保しつつ無駄のないプランを実現できています。
2階の寝室、個室の窓は東西それぞれの外部空間に向けているため、道路や隣家との距離が十分にあり、視線が気になりません。

背の高い木はカリン

デッキはダイニングとひとつながりで使えるようにしている
Point2 南の庭にこだわらない
南と比べると東の庭は暗いのでは?と心配されるかも知れません。
この敷地は南が旗竿地の通路になっており、隣家との距離があるため十分な陽当たりが得られています。
また、建物に囲まれた庭だと、空気の流れが悪く蒸れて植木が傷む恐れもありますが、空気の流れも期待できました。
ダイニング・リビングのメインの窓は庭に向いており、内と外がひとつながりになった感覚で四季の緑を身近に楽しめます。
ただし、敷地の奥の庭なので、植木の搬入ルートは事前に計画しておく必要があります。
ここでは、敷地北側に1メートル程度の通路をサービスヤードとしてあらかじめ計画しておきました。
日常のゴミ出し動線や給湯器、室外機等の設備機器置場にもなっています。
このように、必ずしも南という方角にこだわらず、周囲の環境を踏まえて計画することが大切です。
まとまった広がりのある庭をつくること、そして室内とのつながりをつくることで、ふだんから緑を身近に感じられる家になっています。

内と外のつながりが空間の広がりを感じさせる


ある程度の広さの庭にすることで目隠しになる大きさの木を植えられる

