アプローチの緑|Case1.太子堂の家

太子堂の家 外観

アプローチに緑を植えると家の雰囲気がよくなります。
以前から、設計の世界では「家の外観をまとめるのに困ったら木を植えよう」と、冗談のような格言のようなことが言われているのですが、あながち的外れではありません。
家に緑の植栽は不可欠と言えます。
私たちは設計の当初から木が植えられた家の姿を念頭に設計を進めますが、建物が竣工してから植栽工事が完了するまでの、建物が「はだか」の状態の時はなんとも落ち着かない思いをします。

(残念ながらオープンハウスを開催できるのはほとんどがこの時期ですが)
そして、いよいよ植栽工事が終わると、やっと住宅としてのまとまりが出たと感じます。

近年、特に都内では分譲される土地の大きさが細分化され、予算にも関係しますが得られる敷地の広さは庭を作るには十分でないことも多いです。
ここで紹介する『太子堂の家』は建て替えですが、敷地面積は約25坪。
まとまった大きさの庭を作ることは難しいため、南の前面道路から玄関へのアプローチと2階のカバードデッキを中心にして緑を分散し、いろいろな場所で緑を楽しめる家としました。

太子堂の家 アプローチの植栽

玄関前のスペースは、外壁面から道路まで広いところで2.2mほどという広さ(狭さ)ですが、植栽を施して豊かな雰囲気としています。
深岩石を敷いたアプローチの両側には、アズキナシ(左)とジューンベリー(右)。どちらも落葉樹です。
2階まで届く高さのアズキナシは、白い花を咲かせ、小豆ほどの小ささの赤い実を付け、黄色く紅葉します。葉脈が規則正しく並ぶ様から「ハカリノメ」とも言われています。
ジューンベリーは可憐な白い花を咲かせ、6月に赤い実を付け(Juneberry)、秋には紅く色付きます。
余談ですが、紅葉する木を植える場合、陽当たりが良い場所に植えた方がきれいに紅葉します。
(都内のように昼夜の寒暖差が少ないとその限りではありません)
その点では、ここは南道路に面していますから好条件と言えます。

太子堂の家 アプローチ

アズキナシとジューンベリーの間を通って玄関へ。
背の高い木を両側に植えることで、緑の中をくぐるような雰囲気としています。
ふだんの出入りで自然と目に入る位置に緑があると、緑をより楽しむことができますし
玄関前に植えることで道路からの視線を防ぐ目隠しにもなります。
また、落葉樹だけでは冬は葉が落ち寂しくなるため、アズキナシの左右に常緑樹の常緑ヤマボウシとハイノキを植えています。

太子堂の家植栽図
植栽図|太子堂の家

ジューンベリーは寝室の前にあるので、四季の変化を楽しめ、目隠しにもなっています。

太子堂の家 寝室の窓からはジューンベリーが見える
寝室の窓から見えるジューンベリー
太子堂の家 アプローチに植えたジューンベリー
ジューンベリーの実
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