
この住宅はコンパクトなプランと階高で4階建てを実現していて、そのコンパクトさを実現するために床、壁、天井の仕上げ厚がほぼ最小寸法になっています。
例えば、天井はコンクリート打設時に合板を打ち込み、その合板に直にクロスを貼って仕上げています。
つまり天井懐はゼロということです。
床はコルク貼りで、仕上げ厚はスラブから30mm(床暖房設置箇所は100mm)、天井は外周部のみ構造梁を配置するプランにした上で仕上げ厚は40mm、と言う具合です。
特に天井の合板はコンクリートと一体化しているため剥がすことは困難で、照明器具の再配置を前提とした作りにはなっていません。ワンフロアーにほぼ1部屋というコンパクトな建物ですから、間取りや設備の配置変更は想定していません。
コンパクトな建物だから、細部の納まりもいつもより徹底してコンパクトに、でも室内空間はできるだけ広くしようという考えです。
今回のリノベーションで内装を剥がしてみて、プランや階高と言った建物の骨格とリンクした細部の作り方に、設計意図の明快さや潔さ、合理性が感じられました。
が、逃げがまったくないので職人さんたちはとっても苦労したようです(笑)
工事は終盤に入り、床のコルクを貼る準備をしています。
写真は、接着剤を塗ったコルクを並べて一度乾かしているところ。
コンクリートスラブの上にレベル調整がされた既存の状態に、コルクを貼り直します。
ただ、新築時のコルクはもう製造されておらず、今の製品は大きさが微妙に異なるため墨出しからやり直し。
一見すると単純な作業に見えますが、貼る枚数が多く丁寧さも求められるので手間がかかります。
職人さんの協力にはいつも感謝しかありません。

